こんばんは
カウンセラーの平です。
日曜日の恋愛心理学を原カウンセラーと隔週で担当しています。
この原稿を書いているいまも、新型コロナウイルスは感染拡大を続けています。
このウイルスを目の前にした私たち人間の心理を分析してみると、“罪悪感”という自己概念が刺激されているといえそうです。
罪悪感とは、「自分は罰せられるにふさわしい、それほど自分は悪い人間だ」という間違った思い込みのことです。
自己概念は人それぞれにもっているものですが、一人ひとりの幸不幸は、「その人が、どのような考え方をもっているか」によって決まるといわれます。
罪悪感という自己概念にはよく「自分は毒である」という考え方が含まれます。
この考えをもっている人は、自分の毒でまわりの人を毒したくないので、愛する人、大事な人ほど自分のそばから遠ざけようとします。
先日、新型コロナウイルスに関連したこんなニュース映像を観ました。
あるアメリカのドクターが、感染者の治療で戦場のようになっている病院から久しぶりに帰宅しました。
玄関を開けると、3歳ぐらいの女の子がパパに向かって走ってきます。しかし、パパは娘を抱きしめることができないのです。
自分も感染しているかもしれないからです。彼はわが娘に背を向け、ドアを閉め、そして、頭を抱えて泣き崩れました。
「自分は有害である」という自己概念は、だれの心の奥底にも潜んでいると言われます。そして、この考え方はまわりへと投影されます。
すると、「自分もコロナウイルスをうつされるかもしれない」と思いますから、自分のまわりにいる人がすべて感染しているかのように見えてきたりします。
それはまるで、ゾンビ映画の中で、自分一人だけ、ゾンビに噛まれていない人間として孤立しているような気分です。
しかし、そんな感覚に苛まれているとき、じつは自分がコロナウイルスに感染するよりももっと恐ろしいことがあることに気がつきます。
それは、「自分がコロナウイルスをだれかにうつしてしまったらどうしよう」ということです。
これまでにも、プロ野球選手や芸能人、ニュースキャスターなどだれもが知る人たちがコロナウイルスに感染したという報道がなされました。
その中には、自分が悪い人間であるかのように自分を責めたりしている人もいます。
そして、その人たちを責める人たちもたくさんいるわけですが、その責めている人たちも、もしも自分が感染してしまったとしたら、いま、自分が他人を責めているのと同じだけ、自分のことを責めることになるわけです。
ちなみに、人を責めているときだけは、自分のことを責めずにすみます。したがって、人を責めることの多い人は、人一倍、自己攻撃性が強いタイプともいえます。
これは男女関係でも同じで、自己嫌悪や自己攻撃性が強い人は、ほとんどの場合、パートナーにも攻撃的になりやすい傾向があります。
「自分のことはこんなに責めていて、なんで人にはやさしくしなければいけないの?」というかんじですね。
言い換えれば、「人にやさしくできるかどうかは、どれだけ自分にやさしくできるかにかかっている」ということでもあります。
さて、現在の状況の中では、家族のだれかが新型コロナウイルスに感染したり、感染の疑いがあったりという事態はだれにとっても可能性のあることですが、自分が感染するリスクを押して、家族を看病するという場面もあるかもしれません。
実際、ノロウイルスに関しては、わが子を看病する母親の大半が感染してしまっていると聞きます。それでも、リスクを押しても愛してあげたいと思える相手がいるということは、幸せな人生と言えるのかもしれません。
もちろん、すすんで感染のリスクをとってほしいとは言っていませんよ。
ただ、それほどまでに愛したい相手がいるのなら、コロナ禍に恐れて過ごす毎日の中にも、愛の力でよろこびを見いだすことができるかもしれないと思うのです。
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