みなさん、こんにちは。カウンセリングサービスの大野愛子です。
木曜日は「うまくいかない恋の処方箋」をテーマに、大門昌代・大塚統子と共にお送りしております。今週は、大野が担当させて頂きます。
●あなたにもあるかもしれない観念
私たちの行動心理は「いかに親に愛されるか」というところからスタートしています。親から愛されるためにすべての行動が決定される。なぜならば、親に捨てられたら生きていくことができないからです。
私たちは幼い頃から親にいろいろなことを言われています。「静かにしなさいよ。ワガママ言うんじゃありませんよ。男の子は泣くんじゃありませんよ。女の子なんだからおとなしくしていないさいよ」など。
子供は良いとか悪いとかのジャッジが全くないので、とてもたくさんの欲求があります。ですが、いろいろなことを親から言われることによって「これをすると親に怒られるんだな。これをすると親が困るんだな。これをすると親が喜ぶんだな」という経験から、これをして良い、これをしては悪いということを学んでいきます。
その経験から「親に愛されるための観念」をもつようになると言われています。
「欲しいものを欲しいと言わないと愛される。したいことをしないと言わないと愛される。大人しくしていると愛される。勉強したくなくても勉強すると愛される」などです。
そして、これはうまくいくのです。こうしていると親から愛されやすくなるから。でも、これを大人になっても守り続けて使い続けている人が多いんです。
●とあるA子さんの実例から
たとえば、ある女性A子さんには「愛されるためには、何でも言うことを聞かなければいけない」という観念がありました。(※ご了承を得た上での掲載になります)
なぜこのような観念を持ったのかを考えると、父親の口癖が浮かんできたといいます。「親に口答えをするな!」「俺がダメと言ったらダメなんだ!」「子供は親に従えばいいんだ!」。
お父さんに愛されるためには「お父さんの言うことは何でも聞かなければいけない」というかなり強固な観念があったようなのです。そんなA子さんが大人になり恋愛をするとどうなったと思いますか?
A子さんは彼氏ができると、お父さんが気に入ってくれるかどうかが気になって仕方なかったのです。だから、彼氏ができると必ずお父さんに会わせたそう。
B君を会わせたとき、彼が帰ったあとにお父さんはこう言いました。
「なんだ、ロクな仕事もしていねぇし、気に入らねぇなぁ。」
たしかに彼はまだ専門学校に行っていたので就職をしていませんでした。その後、なんか急にうまくいかなくなって半年後に別れることになったといいます。
C君を会わせたときは、こう言ったそうです。
「なんだ、若けぇな、あんなヤツで大丈夫か?」
たしかに彼もA子さんもまだ25歳で、お互いにさほどの収入があった頃ではありませんでした。その後、3年ほどお付き合いをしたものの、やはりうまくいかなくなって別れることになったそうです。
D君を連れていったときには、こう言ったそうです。
「頼りねぇなぁ。お前苦労するぞ。」
たしかに、この彼は仕事が続かなくて転職を繰り返していました。なんか急に彼のことが嫌になり、その後すぐに別れることになったそうです。
そして、A子さんが34歳の頃、のちに夫となる人F君を連れて行った時にはこう言ったのだそうです。
「なんだ、こいつ。酒も飲まなぇのかよ。つまんねぇな。」
F君は優しくて真面目で温厚で仕事もちゃんとしているし、今までお付き合いした人とは違うタイプ人を連れていった。それでも、お父さんは気に入らないの??
A子さんのお父さんはお酒飲みなので一緒にお酒ぐらい飲みたかったのかもしれませんが、ようやくここでA子さんは気がついたわけです。「あ!私はお父さんの気に入る人じゃないと、結婚しちゃいけないと思っているんだ」と。
「自分の結婚なのに、自分の意思で決めてはいけないと思っている。私はお父さんの言うことを聞かなければいけないと思っている」そんな自分に気がついたんです。
そもそもA子さんの恋愛は「愛されるためには何でも言うことを聞かなければいけない」という観念のまま恋愛をしてきたので、我慢の多い恋愛ばかりをしてきました。
でも、A子さんの連れていった彼は、ひじょうに優しい人だった。話もちゃんと聞いてくれてA子さんのことを大切に扱ってくれる誠実な人。その人を連れていってダメということは誰を連れて行ってもダメということなのだろうと、ようやく気が付いたんです。
A子さんは、父親に愛されたいばかりに「お父さんの言うことは絶対だ」という心の鎖で自分をがんじがらめにして、お父さんに反対されると急に熱が冷めて別れてしまうということをくり返していたのです。
なぜ気がつけたかというと、当時のカウンセラーさんにこんな言葉を言われていたからです。「親のために結婚をすると、いずれ自分のために離婚をすることになりますよ」と。
その言葉を思い出したA子さんはようやく言いました。「お父さんは気に入らないかもしれないけれども、私はこの人がいいんだよね」。
お父さんはやはりいい顔をしなかったそうです。機嫌の悪そうな顔で「じゃ、好きにしろ」とだけ言っただけで。その後、A子さんは自分のために結婚しました。
この話から何を伝えたいかというと、もう大人になったのだから自分で決めていいのに、子供の頃からの観念をずっと使い続けてきたということなんです。
あなたにもそのような観念がありませんか?簡単なワークをひとつご紹介します。
<観念を書き換えるワーク>
(1)「愛されるためには◎◎しなければいけない/◎◎してはいけない」
何が思い浮かぶでしょうか?1分間思いつくかぎり書いてみてください。
(2)書いたものを見ながら「この観念は自分を幸せにするだろうか?」と問いかけてみましょう。
(3)自分を幸せにしないものは書き換えてみましょう。
「◎◎してもいいし、◎◎しなくてもいい」
(4)自分に選択肢を作るために、書いたものを読み上げてみましょう。
「◎◎してもいいし、◎◎しなくてもいいよ。自分で選んでいいよ。」
役に立つ観念は残し、古くなってしまった観念は手放しでも良いのです。自分に選択肢を与えてあげましょう。
30代からのうまくいかない恋愛と40代からのこじれた男女関係に。
婚活・失恋・復縁・不倫など、恋愛についていろいろ書いています。
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