毎週月曜日の「恋愛テクニック」は、「カップル・カウンセリング」と題しまして、パートナーとの関係をより良いものにするため、「男性心理」「女性心理」を紐解きながら、さまざまなご提案をさせていただいています。
恋愛・夫婦問題で悩んでいらっしゃる方、パートナーをみつけようと思っている方、現在の、また将来の結婚生活に、役立つご提案を発信してまいります。
担当は、池尾昌紀・池尾千里の夫婦カウンセラー。毎週交代で発信していきます。
今週は、池尾昌紀が担当です。どうぞよろしくお願いします。
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「池尾昌紀の『シリーズ・自立三点セット(我慢強い・弱音が吐けない・一人でやってしまう)の心理学』」
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お待たせしました。
本日の記事をお届けします。
例えば、こんなご相談
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失恋から立ち直りたくて、このままじゃ絶対イヤだと思って、自分を変えるしかないと気がついて、カウンセリングにたどり着きました。
仕事も恋愛もめちゃめちゃがんばってきたつもりだけど、時々、すごくうまくいかないことが起こります。
仕事ぶりは評価してもらえるけど、わがままタイプと組むと、絶対許せない!って腹が立ってしまい、周りからは「大人になれよ」と言われてしまいます。
一方で「元気で前向きなところは好きだけど、自分で抱えすぎ、弱音を吐かなすぎ」と先輩からよく言われます。
今回の失恋もどうやら私が弱音を全く吐かなかったことが原因みたいで・・・。
こちらの記事を読んでいたら、今の人間関係は親や家族とのことが関係しているとありました。
私の両親は共働きでいつも姉と二人で留守番。
姉は感情のままに生きるタイプで、私はそんな姉みたいになりたくなくて、真面目にきちんとしようとがんばってきました。
両親は私に期待をかけてくれる一方で、自由人の姉をすごく可愛がります。
私は幸せになりたい!です。やれることは何でもやるののでアドバイスをお願いします。
***
こうしたガッツのあるタイプの方、私のカウンセリングではよく出会います。
一言、失恋から立ち直りたくて、と言われてますが、相当苦しかったはずです。
その結果、自分を変えるところにたどり着き、何よりも、カウンセリングを使おうと思って行動した勇気が素晴らしい。
だって、ご相談者にとっては「弱音を吐くのは大変な勇気」がいるはずだからです。
職場の先輩が指摘してくれている通りなのですね。
さて、問題を乗り越えるために大切な視点は
「この問題は私を学び成長させてくれるために起こったことではないだろうか」
と捉えること。
この視点を持つと、問題が起こった原因が誰かのせいだったとしても、誰かのせいにせず、自分の中に理由を見つけ、それを変えていくためのアプローチにつなげていけます。
他人は変えられないけど、自分は変えられる。
自分が変わった時、その影響力で、その誰かが変化することもあるのです。
さて、私たちは誰かを責めている時、例え明らかに相手が悪い場合でも、実は心の奥底では自分を責めています。
「こんな風に相手が悪い態度を取るのは、自分が元々悪いやつだから、その影響で悪い態度を取られるのだ」
とか
「私のように罪深い人間は、罰せられないと罪滅ぼしができない」
なんて心理が隠れているからなのですね。
逆に言うと、私たちは自分を責めている時、それを認めるのが苦しすぎて、誰かのせいにしてしまう、ということなんですね。
しかし、とてもわかりにくい話なのですが、深層心理ではこんなことが起こっています。
まずは、この視点を持ってみるところから初めてみてください。
◇なぜ「わがままなタイプ」に腹が立ってしまうのか
ご相談の話に戻していきましょう。
試験に出るポイントのひとつは
「仕事ぶりは評価してもらえるけど、わがままタイプと組むと、絶対許せない!って腹が立ってしまい、周りからは「大人になれよ」と言われてしまいます。」
という部分です。
わがままタイプに腹が立つだけでなく、周りから「大人になれよ」と言われるほど怒りが抑えられないのかというと
「私は、あんなわがままな人間になりたくない。仕事なんだからわきまえろ!」
と怒っている後ろには、
「私だってわがままになったり、弱音を吐いたりしたいのに、それをこんなにも我慢しているのに、あなたは簡単にわがままが言えるなんて、ずるい!」
という心理が隠れているからです。
別の言い方をすれば
「羨ましい」
のですね。
この心理を受け入れるのはとても嫌なものですが、仮にそうだとしたらと思って、まずは信頼できる人やカウンセリングなどを使って、なかなか言えなかった自分のがんばり、苦労、辛かった思いなどを聴いてもらうチャレンジをしてみましょう。
先も書きましたが、あなたのようなタイプの方がカウンセリングを受けようと思うことで、大きな一歩をすでに踏み出しているんです。
そんな自分を信頼してあげてください。
◇職場のわがままタイプと同じタイプの人が別にいる
もう一つ、怒りが大きくなる理由があります。
それは、職場のわがままタイプの人と、そっくりな人があなたの身近にいるからです。
お姉さんの存在です。
感情のままに生きる姉のようにはなりたくない。
だから、真面目にきちんとしなければならないと自分を律して弱音を吐かずにがんばってきた。
そこには、姉を当てにできないという両親からの期待というプレッシャーもあります。
なのに、両親はそんな姉を可愛がっているなんてことがあれば、
「こんなにがんばっている私の気持ちはどうなるの!」
という怒りを姉に感じるのは自然なことです。
しかし、先の職場のわがままタイプの人の時に説明したように、ここには
「私だってわがままになったり、弱音を吐いたりしたいのに、それをこんなにも我慢しているのに、あなたは簡単にわがままが言えるなんて、ずるい!」
という気持ちが隠れているのです。
そうは言っても、特に両親や兄弟姉妹のような家族へのアプローチは大変なものなので、まずは、弱音を吐きやすい人に話を聞いてもらったり、仕事などで小さなことでいいから手伝ってもらう、頼りにするといった「我慢しない、弱音を吐く、一人でやらない」練習からしていくことをオススメしています。
◇姉妹でお互いのことを「羨ましい」と思っているとしたら?
最初に書きましたが、怒りを感じるのは、深層心理では、自分を責めているのです。
両親に愛されない私。私より両親は姉のほうを愛している。
だから、がんばって、我慢して、一人でふんばってきました。
それは、愛してもらいたいから、なんですね。
でも、その願いが叶わないと感じると、私には愛される価値がない、と感じてしまいます。
すると、この気持ちを隠すためには、誰かのせいにして、怒りで自分を責める気持ちを隠さないとやっていられなくなるのです。
とても健気な切実な思いなのですが、ここには大きな誤解があります。
それは、あなたは両親からとても愛されていること。
そして、お姉さんからも愛されていて、それどころか、あなたのことを「羨ましい」と感じているということです。
私は、兄弟姉妹のタイプが違う家族で育ったような、同じようなご相談を今まで多く伺ってきましたが、お互いのことを羨ましいと思い合っているケースをたくさん見てきました。
ですから、可能であれば、あるいは今は無理でもいつか、お姉さんに聞いてみてください、とご提案します。
「私、お姉ちゃんみたいに自由に生きられるのが、羨ましいってずっと昔から思ってた」
そんな風になげかけてみてください。
そして、自由人のお姉さんの苦労や苦しみなどを合わせて聞いてみてください。
すると、あんなに自由に振る舞っているお姉さんが、実はたくさんの苦労や苦しみを抱えていることが聞けることがあります。
その時、自由にわがままに生きても、苦労や苦しみってあるんだ、と気づけるんですね。
そして、その流れでお姉さん自ら
「私は妹のあなたのことをずっと羨ましいと思っていた。
きちんとしてて成績も良くて、いつも親からほめられて、私よりあなたのほうが可愛がられてるって思ってた。
ちゃんとした会社に入って今もがんばってる。私はあなたみたいにちゃんとできない。ずっと私はあなたにはかなわないって思ってた。」
こんなことを言ってくれることもあるんですね。
あなたの失恋や、職場での悩みは、とても辛い体験ですが、もしかしたら、お姉さんとの誤解やすれ違いに気づかせてくる大きなチャンスなのかもしれません。
あなたの心の中の「愛される資格がない」という思いを感じて、そして、それが誤解であるということに気づいていく意欲をもってみてださい。
今、自分を変える勇気を持っているあなたならきっと気づいていけます。
そのことによって、必要以上に我慢したり、弱音を吐かずに一人でやりきることは減らしていけます。
誰かを頼ってもいい。なぜなら私は愛される存在だから。
この思いが段々と持てるようになったら、恋愛も職場での人間関係も、よくなっていくでしょう。
次週、2020年10月19日(月)は妻、「池尾千里」が担当します。
どうぞ、お楽しみに。