毎週月曜日の「恋愛テクニック」は、「カップル・カウンセリング」と題しまして、パートナーとの関係をより良いものにするため、「男性心理」「女性心理」を紐解きながら、さまざまなご提案をさせていただいています。
恋愛・夫婦問題で悩んでいらっしゃる方、パートナーをみつけようと思っている方、現在の、また将来の結婚生活に、役立つご提案を発信してまいります。
担当は、池尾昌紀・池尾千里の夫婦カウンセラー。毎週交代で発信していきます。
今週は、池尾昌紀が担当です。どうぞよろしくお願いします。
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「池尾昌紀の『シリーズ・自立三点セット(我慢強い・弱音が吐けない・一人でやってしまう)の心理学』」
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お待たせしました。
本日の記事をお届けします。
カウンセリングをしていると、時々、自分の力ではどうにもならないような出来事が起こって、それがきっかけで人生が変わるというお話を聞くことがあります。
そうした例のひとつが
軽度の病気や怪我だけどある程度の期間、入院することになった
みたいなケース。
大変な病気や怪我は人生を変えるほどの大きなもので、簡単に語れないものです。
そうしたことを踏まえた上での話なのですが、
病気怪我の症状が軽い入院などの状況の中で、自分の大切さに気づく場合というのがあるのですね。
こうした時に、病院のベッドの上で、あなたなら何を思うでしょうか。
「病気や怪我は嫌だけど、仕事が休めたことはラッキーだったな」
と思うでしょうか。あるいは
「仕事が立て込んでるから休んでいる暇はない」とか
「仕事を途中で放り投げて申し訳ない」とかのように思うでしょうか。
自立しすぎて生きている人ほど、後者のように思います。
自立しすぎている時は、ほとんどの場合「我慢して、弱音を吐かず、一人でがんばる」ことをやっていますから、病気や怪我のように「休まなければならない状況」になったとしても、仕事を休むことには許可が出にくいのです。
しかしながら、入院中というのは強制的に仕事ができなくなるわけですから、病院にいる間というのは、こうしたタイプの人にとってはあり得ない世界、つまり、休み何もしないことが自分に課せられた仕事みたいになるわけですね。
ですから、最初の一週間くらいは、仕事のことが頭から離れなず、ベッドに寝ていることがもどかしくて仕方がない、イライラしたり、不安になったりする時を過ごす人が多いようです。
じっとしていられないので、隙間を見ては職場に電話したり、時にはパソコンを持ち込んだり、そんなことをしてしまう人も少なくありません。
ところが、自分の身体を直すために、ゆっくり休み、何もしない日々が続くと、段々と今まで感じたことがない考えや、思いにたどりつく人もいます。
すでにカウンセリングを受け始めていて、自分の自立を手放す(我慢しない、弱音を吐く、一人でやらずに手伝ってもらう)なんてアプローチを試し始めていた時に、入院なんてことが起こると、カウンセリングの中での学びと、休み何もしない状態が結びつくことによって、心が大切な何かに気づくことってあるのですね。
例えば治療の関係で、全く水が飲めない時間が長かった時。
水が飲みたい!と切望しながら時間を過ごし、ようやく水が飲めた時に
「水ってこんなに美味しいんだ!」
という喜びから、
「普段、当たり前になっているだけで、水が飲めるということがどれほど大切なことなのか」と気づく。
こうした気づきのように、心の面でも、普段は当たり前すぎてわからなかったことに気づくことになった、そんなお話を伺うことがあります。
入院することで、思いがけず、心も身体も休むことになり、そこで生まれた余裕が自分自身の心と向き合う時間になる。
自分と向き合う時間を取ることは、特に忙しくしている自立タイプの人には、普段ではとても難しいことです。
こうした人が自分と向き合うことになると、一番感じたくない気持ちを感じざるを得なくなることもあります。
それが「今の生き方、やり方のままでいいのかな?」という疑問です。
誰にも迷惑をかけないように、一人でがんばっている自立しすぎの人が、入院などの「自分の力ではどうにもならない」状況になった時。
まるで、飲めなかった水を飲むことができた時、水のありがたさが実感できるように。
自分一人の力ではどうにもならないことで、助けてもらう大切さや、応援してくれる存在のありがたさに気づけることもあるのです。
カウンセリングの中で私が提案する、自立しすぎを手放す方法というのは、先に書いた自立の特徴の逆をやること。
「我慢しない、弱音を吐く、一人でやらない」をやることです。
つまり、手伝ってもらう、頼りにする、甘える、お願いする、こと。
普段はできないことですが、入院中は何かと「一人でやれない」ことが多い。
また、病状や治療に関する不安も沢山出てきます。
足を怪我して動けないから「飲み物を買ってきて」と頼む
手術前の不安を聞いてもらう
医師・看護師の優しさに触れたり
普段はつっけんどんな親が見舞いに来てくれたり
コミュニケーションがすれ違っているパートナーの心配されたり
こうしたことの積み重ねで、今までできなかった、弱音を吐く、一人でやらずに頼りにすることができるようになり、それをやればやるほど、家族やパートナーが喜んでやってくれることに気づく。
さらに、この人が自分にとってどれほど大切な存在なのか気づく。
こんな風に気づきがやってくると自立しすぎの自分のやり方に対しても、
「今まで何を意地張ってたんだろう」
「がんばりすぎていたんじゃないか」
「頼りにしなさすぎてたんじゃないか」
と思い、それを段々と止めていくことにつながっていくこと、あるんですね。
この気づきは、あなたが大切にされることによって起こる気づきです。
例え入院などの理由があったとはいえ、なぜあなたは大切にされるのでしょう。
それは、あなたががんばり続けたからです。
やりすぎていた、みたいに、やり方がうまくできてなかったのかもしれないけれど、あなたのがんばりは評価されるにふさわしいもの。
そんなあなたは大切にされる価値があります。
そして、そもそも、生まれた時からずっと大切にされるにふさわしい価値があるのが正解なのです。
自分が大切にされて、周りの人の大切さもわかる。
それだけではなく、大切にされることで、自分の価値がわかり、自分の大切さがわかる。
このようにして、自立三点セット「我慢して、弱音を吐かず、一人でがんばる」をする必要がないと感じられるようになっていくこともあるのですね。
だからといって病気や怪我をする必要はありません。
今から、この視点で自分の心の中を見つめてみてください。
「自分がどれほど大切な存在なのか」をそこから気づけることもできるのです。
次週、2020年10月5日(月)は妻、「池尾千里」が担当します。
どうぞ、お楽しみに。