こんにちは。神戸メンタルサービスの平です。
日曜日・恋愛心理学講座を原カウンセラー と隔週で担当しています。
昔、ある男性から、ちょっとしたご相談を受けたことがあります。
「妻がたいへんわがままなのですが、どのような考え方をもつと、腹を立てず、ケンカせず、彼女を受け入れていくことができるのでしょう?」
奥さまがどんなふうにわがままで、お二人の関係がどんな状況なのか、そのときの私はまったく知りませんでした。そこで、心理学の基本的な法則を彼に話すことにしたのです。
それは、「奥さまが、あなたには不可解だったり、ありえないと感じられるような言動をするときは、二つのことが考えられる」というものでした。
一つは、「こんなことをする私は最低でしょ。こんな私のことなんか、どうせ嫌いで、別れたいと思ってるんでしょ」というネガティブなメッセージがその言動に隠されている場合です。
つまり、「こんな私でも、あなたに愛してほしい」と、助けを求められている状態であるわけです。
もう一つは、奥さまがあなたに退屈したり、飽きてしまったりしている場合です。この場合、いま、あなたには、変化することが求められています。
したがって、「おれはこんなにまじめにがんばっているのに、わがままばかり言うな」と怒ったり、奥さまを抑圧しようとするのは逆効果。そうではなく、「もっと僕が魅力的になればいいんだ」という考えをもつことが大切です。
で、私は彼にアドバイスしたわけです。
「この考え方を実践すると、奥さまにとって魅力的なあなたになるだけでなく、人として、すべての面で魅力がアップしますから、これがきっかけで人生が変わっちゃうかもしれませんよ」
先にも申しましたが、ご夫婦の具体的な状況がわからなかったので、ま、一つの考え方の伝授といいますか、哲学的なサポートになったわけですね。
その後、私は彼のこのご相談のことなどすっかり忘れてしまっていたのですが、5年後、彼は奥さまを伴って私どもの講座に通われるようになったのです。
なんと、彼は私のアドバイスをまじめに受けとめ、5年間、実行しつづけてくれたのでした。
その結果、パートナーシップも彼自身の事業もうまくいったとのことで、うちの信者‥‥、いや、クライアントになってくださったというわけです。
5年前のあのころ、奥さまは夜遊びはするわ、家事は放りっぱなしだわ、ご主人にはあたりちらすわで、ほんとうに最悪な状況だったとのことでした。当然というか、ご主人は離婚まで考えていらっしゃったといいます。
しかし、奥さまのそのひどく自己破壊的な態度が、「自分に向けた、助けを求める声である」という目で見はじめたところ、彼女に感じていた怒りがおさまり、その気持ちをなんとか理解してあげようと思えるようになったそうです。
では、奥さまの気持ちとはどういうものだったのでしょう?
例をあげると、私は太っているのですが、だれかに向かってこう言ったと思ってください。「どう? グロテスクな下っ腹でしょう。ガマガエルみたいでしょ?」
こんなふうに、自分を卑下するようなことを言うと、普通の大人のみなさんなら、嘘であったとしても、「そんなことないですよ。ステキですよ」ぐらいはおっしゃるでしょう。
でも、卑屈な私はまた言ってしまうわけです。「またまた、そんな、口ばっかり。ほんとはデブが嫌いなくせに」などと‥‥。
自分のことをこんなふうに表現する裏側には、「そんなことないよ、ステキだよ」と言ってもらいたいという思いがあります。その思いが強い度合いだけ、何度も何度も自分を卑下してしまうわけです。
ですから、この奥さまの場合も、ご主人が彼女に理解を示そうとすればするほど、ご主人のことを偽善的だと責めたり、「どうせ、私のことなんか嫌いなクセに」と言ったりと、状況はさらに悪化したそうです。
しかしながら、ご主人はこう宣言したのです。
「おまえが信用しなくとも、私がおまえを嫌いになることなどありえない。おまえが10回否定したら、私はおまえに11回手をさしのべるし、100回否定するなら、101回手をさしのべる。どうぞ、嫌うなら嫌え」
この言葉を聞いた奥さまは、「なんで、こんな私なんかを好きなのよ」と言いながらわんわんと泣きはじめ、そして、ようやく心を開いてくれたそうです。
どうやら、奥さまは自分にまったく自信がなく、「このだんなさまに私は釣り合わない」という思いをもっていたようでした。そのひどい自己嫌悪のために、いつもだんなさまのことをテストするようなことをしてしまっていたのです。
それゆえ、ご主人のほうも、「自分は妻からも愛されないぐらい、魅力がぜんぜんない男なのだ」と誤解していて、まさか、奥さまが自分を高く評価していることが、すべての問題の原因だとは気づきもしなかったのです。
そして、5年。この経験を経て、ご主人は「だれがどんな状況にあろうが、私がしてあげることはある」ということを学ばれ、それを事業にも生かされた結果、とても多くの人から評価されるようになったようなのです。
で、いまは、「まさしく、この女房がいたから、すべてがうまくいきました」と考えていらっしゃるわけです。
あなたのパートナーも、あなたをひどく攻撃してくることがあるかもしれません。それは、ひょっとしたら、あなたの助けを求める声かもしれませんよ。
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