みなさん、こんにちは。カウンセリングサービスの大野愛子です。
木曜日は「うまくいかない恋の処方箋」をテーマに、大門昌代・大塚統子と共にお送りしております。今週は、大野が担当させて頂きます。
【不倫Q&A】不倫相手にふられましたが執着しています
最近、彼にふられました。でも、彼は既婚者なので、いわゆる不倫関係でした。もともと彼の家庭を壊すつもりなんてなかったし、いつかは終わる関係だと思っていました。
でも、いざ別れてみるとダメージが大きくて、毎日泣いて過ごしています。仕事に行く気力もなくなり、一日中彼のことばかりを考えています。
不倫なんだから、私に悲しむ権利なんてないのかもしれません。でも、最近は「私はすべてを失ったのに、彼はなにも失っていない」と憎しみを感じます。それなのに彼に執着している自分がいます。私はこれからどうしたらいいのでしょうか?
◆不倫の恋だって失恋は失恋
カウンセリングでは、このような不倫のご相談をいただくことがあります。
※不倫の是非を問うのではなく、心理面からの回答になることをどうかご理解くださいませ。また、これは一例であり特定のどなたかの例ではありません。
不倫の恋だって失恋は失恋です。でも、不倫の場合は、おおっぴらに悲しんではいけないような罪悪感がともないます。だって「不倫でしょ、最初からわかっていたことでしょ、自業自得でしょ、なにを今さら」と自分を責めているからです。
友達にこの苦しみを話そうにも「だから、やめておけって言ったじゃない!」と言われることぐらいわかっています。誰にも相談できなくてひとりで苦しんでいるときに、たまたまカウンセリングにたどり着いたという人が多いんですよね。
そもそも人生初のカウンセリングが「失恋」というケース、けっこうあるんです。その恋が不倫であったとしても。失恋は「愛されていた私」を失うことでもあり、「愛する人」を失うことでもあるので、そのダメージはハンパなく大きいものです。
つらくないわけがありません。私は「失恋は人生の一大事」だと思っています。「たったひとり、私のことを世界で一番好きだ」と言ってくれる人を失うことが、どれほどつらいことか。
◆不倫の終わりにやってくるもの
不倫は「制限ある恋」と呼ばれたりします。会いたいときに会えない、電話したいときにできない、さみしいなんて言っちゃいけない、ずっと一緒にいたいけどいられない、友達に彼のことを話せない、両親には絶対にバレないようにしなければいけない。
ほかにもたくさんあるのですが、とても制限された不自由な関係です。最初のうちは制限がふたりの秘密となり、関係性を甘いものにします。不倫というのは「奥さんがいながらも私を求めてくれる状態」です。そこに不満を感じる一方で、必要とされている私、愛されている私を強く感じることができます。
愛されることに自信がない女性にとっては、求めていたものが手に入ったような気がします。ほしくてたまらなかったものが手に入ったような気がするのです。ですが、その関係性が終わってしまったとき、自分の存在などまるでなかったかのように、闇に葬り去られたような悲しみがやってきます。
やってくるのは悲しみだけではありません。溜まりにたまった罪悪感、抑え込んでいたネガティブな感情、我慢をしていたさみしさなどが一気に噴き出してきます。噴き出した感情に名前をつけるのだとしたら「怒り」「憎しみ」と呼ぶのかもしれません。
◆「好きで繋がれないのならば嫌いで繋がる」
でも、このような感情がやってくることにもちゃんと理由があります。私たちは「好きで繋がれないのならば、嫌いで繋がる」という心理があるのです。
みなさん、大好きな人とは、大好きという感情で繋がりたいと思いますよね?でも、残念ながらその相手とはうまくいかなくて、失恋をしてしまったとします。
大好きなのに、結ばれない。
愛しているのに、別れなきゃいけない。
そんな感情を感じているのはあまりにもつらいので、なんとかして「好きじゃない」「愛していない」状態になるように努力をしてしまうのです。
大好きなままでいると彼のことを求めてしまうから、あまりにも苦しい。すると、好きという気持ちを何かほかの感情に変えるしかなくなります。それが怒りや憎しみという気持ちです。
つまり、怒りや憎しみという気持ちに変えてまで、彼のことをずっと思い続けているのです。一見矛盾しているような心の動きですが、これは感情のエネルギーが好きから嫌いに裏返っただけで、彼のことを思い続けていることにはなんら変わりがないのです。
「好きの反対は嫌いではなく無関心」という言葉がありますが、潜在意識的に見れば似たような心の動き方をしています。好きでも嫌いでもその人に意識がとられていることにはなんら変わりなく、愛せないのであれば憎んでやるというのは、結局のところは「好きの裏返し」なのです。
これは「僕、お父さんが嫌いなんです」「私、お母さんが嫌いなんです」というときの、「本当に嫌いなの?」「本当は愛されたかったのでは?」という心理にとてもよく似ています。
彼に対して怒りや憎しみを感じているうちは、彼のことを忘れずに済みます。ある意味では、恨みながらであったとしても、堂々と彼のことを考え続けることができるわけです。
私はこれを「失恋の後遺症」と呼ぶことがありますが、私たちは愛で繋がれないのであれば心の痛みで繋がろうとしてしまうことだってあるということです。
彼と繋がるために心の痛みを必要としているのであれば、その怒りや憎しみがなかなか手放せなくなることは、おわかりでしょうか?
なかには「彼に嫌われてもいいんです。私がどんなにつらい思いをしているのか、わからせてやりたいんです」と執着をしてまで繋がろうとする場合もあります。
◆どしゃぶりの雨の日でなければできないことがある
では、こんな時はどうしたらいいのかという話になると思うのですが、彼への執着を無理に手放そうとしても、しがみつきが強くなってしまうということは、おわかりいただけたかと思います。
このような時期はこのような時期でないとできないことがきっとある、とカウンセラーとしては考えます。つまりは、こんなつらい恋愛をするには、するだけの理由があるのだろうと考えるのです。
「彼のことはまだ好きでいていいですから、ちょっとお父さんとお母さんのことを聞かせてくれませんか?」「今までどのような恋愛をしてきたのですか?」「彼以外にも、好きでいることを諦めた人はいませんか?」「自分にはそこそこの幸せがふさわしいと思う理由は何ですか?」なんていうふうに。
その理由と向き合い心を癒していくことで、彼のことでいっぱいになっていた心のスペースに少しずつ余裕を作っていきます。余裕ができた分だけ、じつは手放せているんですよね。
彼のことばかりを見ていた目を、自分の心のほうに向けてあげることがとても大切だと思います。怒りや憎しみを使ってでも彼と一緒にいようとしていたけれども、受容と理解を使って自分と一緒にいてあげる時間を増やしていくというイメージです。
どしゃぶりの雨の日だからこそできることもあります。傘もささずに雨の中をさまようよりも、雨宿りをしてみてもいいんじゃないかなと思うからです。
参考になりましたら幸いです。
30代からのうまくいかない恋愛と40代からのこじれた男女関係に。
婚活・失恋・復縁・不倫など、恋愛についていろいろ書いています。
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