みなさん、こんにちは。カウンセリングサービスの大野愛子です。
木曜日は「うまくいかない恋の処方箋」をテーマに、大門昌代・大塚統子と共にお送りしております。
今週は、大野が担当させて頂きます。
「うまくいかない恋愛に慣れ過ぎていると、幸せな恋愛が居心地悪くなる」という、なんともせつない心理について書いてみます。
ひとことでいうと「幸せ恐怖症」。あなたは大丈夫でしょうか?
<うまくいかない状態に慣れ過ぎていると…>
恋愛のカウンセリングのなかに、時々このようなご相談があります。
「最近出会った男性がとても良い人なんです。優しくて話もよく聞いてくれて。だけど、逆に落ち着かないっていうか。違和感を感じちゃうんですよね…」
皆さんはこれを聞いてどう思うでしょうか?
「ええ?だって良い人なんでしょう?だったらそのままつき合えばいいじゃないですか?なんで違和感を感じるわけ?」
この女性がいう良い人というのは、高収入だとかエリートであるとかそういう意味ではないんですよ。普通に優しくて、普通に誠実な人のことを「良い人」と言っているのです。
だけど、彼女は「自分がそんな良い人と付き合っていいのかな?」と悩んでいるのです。それはそれはもう真剣に。
これは心のなかで何が起こっているのかというと、幸せな状態にうまく順応できないので気持ちが不安定になっているのです。
うまくいかないことに慣れ過ぎているとむしろうまくいきそうだと不安になってくるのです。
つまりは幸せな状態であることのほうが不安定に感じるのです。
<幸せな状態が不安定?>
たとえば、長い間不倫の恋をしてきたような人もこのような感覚をもつことがあります。
彼女は39歳。つい先日5年ほど続いた不倫の恋を終わりにしたばかりです。
「ここからはひとりで生きていくしかない」と仕事に打ち込む決心をしたところ、職場の同僚男性から飲みに誘われました。
嬉しい反面、「私を誘うなんて、私がどんな女なのか知らないからだわ」と自分を卑下するような気持ちがわいてきました。
自分は不倫を終えたばかりの女。彼は仕事熱心でまわりからの評判も良い独身男性。そんな人が自分に好意をもつはずがない。
そういえば、彼は今までもなにかと優しくしてくれる人でした。ひとりになったばかりのさみしさもあって「一度くらいなら、飲みに行ってもいいかな」と思ったのです。
彼と過ごす時間は楽しくて、彼女は久しぶりに心から笑いました。
彼も楽しかったようで「またぜひ会いましょう」といってくれたのです。
もちろん彼女もまた会いたいなと思いました。でも、なんだか心がザワザワするのです。
彼が優しくしてくれればくれるほど、逃げ出したいような気持ちになってくるのです。
「この人は私の良い面だけを見ているに違いないわ」
それ以降、彼から誘われてもなにかを理由をつけて断るようになりました。そればかりか、だんだんと彼のことを避けるようになったのです。
すると、彼はだんだんこう思うようになるのです。「僕じゃ、ダメなのかな?」と。
でも彼女はこう思っているのです。「本当の私を知られたら嫌われる。嫌われるのがこわい」と。
残念ながら、この恋が実ることがありませんでした。
優しくて誠実な男性であるほど女性の迷惑になりたくないので、ここから先へは踏み込んでいかないからです。
<幸せ恐怖症とは?>
うまくいかない状態に慣れていると、幸せな状態を「不安定」だと感じてしまうことがあるのです。
幸せな状態が「居心地が悪い、ソワソワする、自分で手に入れた感じがしない、リアリティがない」と感じます。
その不安定さに耐えきれないと、その不安を解消するために「幸せ」のほうを手放してしまうことが多いのです。
心理学には「人間、幸せになるのが一番こわい」という格言があるぐらいですから、そんなことが起こりうるのです。
幸せを手に入れたら、今度は失うことが怖くなる。
どうなるかわからない未来よりも、わかりきった今のほうに安心感があるのです。
恋人ができて親密になると、わざわざケンカをふっかけて、自分がどれだけ愛されているかを確認したくなるとか。
せっかく理想的な人と出会ったのに、「こんなに素敵な人が私を好きになるなんておかしい」とばかりに、相手の欠点ばかりをわざわざ探してけなしてみるとか。
一般的には、人に優しくされたり愛されたり喜ばしいできごとがあると嬉しく感じるものです。
幸せ恐怖症の人は、自分が嬉しい気持ちや楽しい気持ちになることに罪悪感を感じてしまうので、そのような気持ちになるできごとを避けてしまうのです。
みずから幸せから遠ざかってしまうのが「幸せ恐怖症」なのです。
心理的な見方をすると、両親に対する罪悪感が強い人に多い傾向です。
あなたの両親の心に余裕があり生活も豊かで笑顔でいてくれるのならば、あなたも心おきなく幸せになることができるかもしれません。
ですが、親が幸せそうでないのに「自分だけが幸せになってはいけない」「自分だけが楽しんではいけない」「自分だけが喜んではいけない」と思っているのです。
つまりは「自分が幸せになること=親を見捨てること」という罪悪感があるので、幸せになることにうしろめたさを感じてしまうのです。
深層心理のなかでは、自分が幸せにならないことで誰かを救いたいという気持ちが働いているともいえるのですが、これは真実の道ではないのです。
むしろ、本当に救いたいのであれば、まず自分が幸せになることで道を拓くことが必要なのです。
<幸せを受け取る練習が必要>
「あなたにとっての幸せとはどんなイメージですか?」
皆さんならどう答えるでしょうか?
幸せ恐怖症の人にとっての幸せとは「とてつもなく大きなもの」「自分とかけ離れたもの」というイメージがあるので、「幸せ=わからないもの=恐いもの」になっているのです。
ですので、いきなり大きな幸せを手にするのではなく、小さな幸せを手に入れることから慣れていくことが幸せ体質になるための近道です。
朝起きたときには「今日も目覚めることができた。幸せだなぁ」
お天気がいい日には「うわぁ、お天気で気持ちがいい。幸せだなぁ」
美味しいものを食べたときには「わぁ、これ美味しい。幸せだなぁ」
夜寝る前にも「ふう、今日も一日過ごせたな。幸せだなぁ」
こんなふうに声に出して、「これが幸せなんだよ」「幸せを感じていいんだよ」と自分に伝えてあげることが大切です。
幸せ恐怖症の人は、自分が嬉しい気持ちや楽しい気持ちになることに罪悪感を感じてしまうので、「声に出して」言ってみることがひじょうに効果的です。
カウンセリング的には親との関係性に取り組んでいくことも大切ではありますが、このように日常的に取り組めるアプローチもお使いになってみてください。
幸せとは「なるものではなく、感じるもの」です。
親との関係性を克服しなければ幸せになれないということではありません。
今この瞬間からあなたは幸せを感じてもいいのです。
あなたが幸せだと感じるもので、あなたの身の回りをいっぱいに満たしていきましょう。
それこそが幸せへの扉を開く鍵になるでしょう。
30代からのうまくいかない恋愛と40代からのこじれた男女関係に。婚活・失恋・復縁・不倫など、恋愛についていろいろ書いています。
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