こんにちは。みずがきひろみです。沼田みえ子カウンセラーと交代で金曜日の<大人の恋愛術>コラムを担当しています。
暑いですね。
セミの声がうるさくて目がさめることが増えました。あの鳴いているセミは、何年も地中で過ごし、夜中、必死に力を振り絞り木を昇って、なんとか無事に脱皮して成虫になれた、
試練をくぐり抜けた勇者揃いなんですって。
大人として恋愛ができる私たちも同じ。これまでのもろもろの出来事をのりこえてきたことにもっと自信をもてるといいですよね。
ロマンスの時期をすぎるとけんかが増えるのは、違いを許せなくなるから。
私たちは、自分に「ない」と思うものに憧れるところがあります。だから、自分に「ない」ものを持つ異性に惹かれて恋をする、ということがよく起こります。
自分はまじめ一辺倒の優等生。親兄弟、みんな公務員。しつけは厳しかったし、「べき」が多い家に育ったのに、ものすごく好きになった彼は、アーティストで超自由人。ふらっと着のみ着のまま、気分にまかせてどこかに出かけてしまいます。
最初は、その自由さ加減に憧れるのですが、一緒にい続けると、今度はその自由さに振り回されて気が狂いそうになる、なんてことも。
ずーっと喋り続ける奥さまと寡黙なご主人という組み合わせだったり、楽しいことが大好きで奔放なご主人に対して締り屋の奥さまがしっかりと手綱を握っているなんてよくありますよね。
違いは、お互いの素晴らしさを生かせれば、1+1が何乗にもなるほどの豊かさを二人で作り出すことができます。
でも、ロマンスの時期を過ぎると、違いがストレスに変わります。お互いに主導権争いが始まるので、どちらの方が「正しい」のか、「違い」は二人の間の競争のネタとして使われます。
もうあの食べるときにクチャクチャするの、イヤなんだけれど。
彼女のなんでもやりっぱなしなところがウンザリなんだけれど。
イヤとなったら、近くにいるとイライラして許せない気持ちになるので、
「どう折り合いをつけたらいいでしょうか?」
というご相談をたくさんいただきます。
私自身、自分のパートナーシップの中でもいろいろと試行錯誤をしてきました。
- 変えてほしい、とお願いをする。
- 変えてくれなきゃいやだ、と怒る。
- 変えてくれないのなら、冷たくしてやろう、と罰を用意してみる。
- あきらめる。我慢する。
- 見ないように努力する。
- 距離をとる。
でも、残念ながら「私の価値観」にこだわっているところは、実は、私も相手も同じなんですね。
私も、何度、「シャワーの後に使うタオルはいつもドアのところにかけておいてほしい」と彼に頼まれても、洗濯がすむとリネンボックスに畳んで片付けてしまいます。
悪気はないのですが、習慣の外に出るには、かなりの意識づけが必要なのです。
ロマンスの間は、お互いに相手を他人と見ていて、意識して合わそうという気持ちがありますが、そこから心の距離が近づくと、他人に対する気遣いが減る分、自分のやり方を通したい気持ちの方が強くなって、相手に合わせることは犠牲をしているように感じます。
そこまではっきりと抵抗感がない場合も、「覚えていられない」という形で、「自分のやり方」を温存しようとするのですから、無意識って怖い。
そんな自分のありようを「変える」のって本当に大変。
それだけに、もし、相手があなたの「お願い」に応えてくれて、あなたのために「変わろう」としてくれるとしたら、その相手は、真実のパートナーと言っていいでしょう。
そういう人は、離したくないですね。
逆に、
「相手のために変わろう」
そう思うほど相手を愛せたなら、本当にステキ。
頑固に習慣化した自分を変えようとするときのコツは、「なかなか変えられない」ことを責めないこと。
その習慣、その価値感は、あなたが生き延びるために身につけたものなのです。
親の身振り手振りをとりこんで、親に愛されようとしたかもしれません。
寂しさや悔しさを歯軋りでしのいできたのかもしれません。
そんなあなたのこれまでの人生が、あなたの習慣には詰まっています。
思い出したくないこともあったかもしれませんが、精一杯のことをやってきたのです。
そんな自分が選んだ最善のものには、その時々にあなたが大切に想った人への愛が息づいています。
たかが習慣、されど習慣。
自分のこれまでの人生を慈しむ気持ちで、自分の「ありよう」に愛を贈りましょう。
愛と優しさのなかでしか、自分の「ありよう」なんて手放せないものですから。