こんばんは。
カウンセラーの平です。
日曜日の恋愛心理学を原カウンセラーと隔週で担当しています。














彼の趣味は読書で、休日のたびに3時間は書店にこもり、さまざまな本を吟味します。
彼女としてはその3時間につきあうだけでも苦痛なのですが、彼にとってはもちろん買った本を読む時間も必要です。で、彼女とのデートでお茶を飲んでいるときも食事をしているときも、スキあらば本を読みはじめたりするわけです。
当然、彼女は思いますよね。「この人は、私なんかとデートするより、本を読んでいたいんじゃないの?!」、と。
といっても、彼は彼女が大切でないわけではなく、「世界中のすべての女性の中から、僕が選んだのがきみなんだ」などと言ったりもします。
すると、彼女も悪い気はしないのですが、「でも、やっぱり、彼は女性よりも本を恋人にしているみたい!!」と思わざるをえない状況であるわけで、私どもにご相談にみえたのです。
一般的に考えると、子どものころの私たちは、本を読むことよりも、だれかと遊ぶことのほうが圧倒的に楽く感じたものですよね。
そんな中、本好きになっていく人には、「本の中に入り込むように読書をした」という経験が必ずあるようです。
そして、そこには「淋しさをまぎらわす」とか、「だれかとふれあう代わりに非日常の中に入る」ということが介在していることが多いようです。
つまり、なんらかの慰みの要件があるわけで、そのほとんどは「親密感やふれあいを失うことへの恐れ」が土台になっていることが多いようです。
誤解のないようにいえば、読書が悪いというつもりはまったくありません。私もヒマさえあれば本を読みますし、いったん読み始めると本の世界にドップリと入るタイプです。
が、実際のところ、相談者の彼のように本が大好きという人の中には、親密感やロマンス、対人関係における感情の動きなどにふれた経験が少なく、そうしたものに苦手意識をもっていることが少なくありません。
そして、そうした人々は、たった一人で感情を感じることが多ようです。
感情を分かちあうという作業をあまりする機会がなかったんですね。もしくは、恥ずかしくてできないわけです。
そんなことから、私は相談者の彼女に、「彼がすすめてくれる本を読み、その感想を彼と分かちあってみてください」と提案しました
本好きの人というのは、読む本に対するこだわりや、自分なりに作品の良し悪しを決めるようなポイントをもっているものです。
さっそく彼女はそれに取り組み、彼と感想を話し合うということを重ねるうちに、彼の本選びに対するこだわりや、どんなことを感じながら本を読んでいるのかということや、なぜ、その本をすすめてくれたのかということなどがだんだんと見えてくるようになりました。
そして、それは一方の彼にとっても、これまでよくわかっていなかった、思いや感情を分かちあうということや、それを二人で共有するということを学ぶ機会となったわけです。
二人で話をする時間も急激に増えました。どうしても読書感想文的な会話にはなるのですが、自分とはまったく違うものの感じ方、考え方をする彼女の言葉に、彼はいちいち「なるほど」と感じたり、「そんな見方もあるのか」と興味深く聞き入りました。
それはやがて読書以外のことにも広がっていき、日常のさまざまなことについて、「きみはどう思う」、「どう感じた
」などと彼は彼女に聞くようになりました。
さらに、彼はいままでの人生でだれに対してもしてこなかった感情表現を彼女に対してはするようになり、毎日、自分が感じたことや思ったことを子どものように彼女に伝えるようにもなったのです。
そのたびに彼女は「彼はきっと子どものころ、いろいろな話をしたくても親に十分に聞いてもらえなかったんだ」と思ったそうですが、実際、共働きの両親のもと、カギッ子として育った彼は淋しい思いをすることが多く、それをまぎらすために本の世界に入っていったという経緯があったのです。
こうして、「感情を分かちあう」ということに関し、彼女は身と後に彼の教師役を果たし、二人のコミュニケーションは素晴らしく深まりました。それから1年もしないうちに、二人は結婚したのです。
私が担当するAmebaブログは、本日が年内最後の掲載です。
今年も1年間、どうもありがとうございました。
みなさまが素晴らしい新年を迎えられますように。
来年も変わらぬご愛顧をよろしくお願いいたします。
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