こんばんは。
カウンセラーの平です。
日曜日の恋愛心理学を原カウンセラーと隔週で担当しています。
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みなさんは“アイドル”という言葉を聞いたことがあるでしょう。この言葉を辞書で引いてみると、“偶像崇拝”と出てきます。
心理学的なものの考え方は主に西洋で作られているので、その中にはキリスト教を土台とした物事の捉え方が非常に多く見受けられます。
そして、この“偶像崇拝”という考え方は、「神以外のものを神として崇めること」と考えてみるとわかりやすいかもしれません。
たとえば、AKBというアイドルは、ファンにとってはもはや神であり、新興宗教のようなものと考えることができます。
このようなことは、私たちの人生でもいたるところで起こります。男女関係においても、恋愛初期のロマンスの時代には、あなたの彼(彼女)はまさにあなたの理想の人であり、ほとんど神様のようになっています。
「彼は素敵すぎて、もう、見つめられるだけでとろけてしまいそう‥‥」と思うぐらいならまだいいのです。しかし、アイドル歌手に対し、「松潤はきっとオシッコもウンコもしないわ」などと本気で思うのと同じぐらい、パートナーへの偶像崇拝の度が過ぎるとしたら、それはそれで問題です。
あなたの彼(彼女)はあなたと同じ人間であり、腹が立つこともあれば、グチることも、人を憎むこともあるのです。
ところが、彼(彼女)をそんな感情をまったくもたないような人にしてしまうとしたら、あなたはパートナーの真実を見ているのではなく、あなたの理想をパートナーに押しつけているだけといえそうです。
では、この種の偶像崇拝はなんのために必要なのでしょう?
私たち人間は深層心理で「いつも愛だけを感じていたい」と思っています。しかし、そこにエゴという、あなたのもつ攻撃性が入ってきて、一方では自分の怒りを正当化するようなものごとの見方や考え方もしています。
心の中ではこの愛とエゴがいつもケンカをしているのですが、人間というものは、たえず愛の状態にいたいものなんですね。
そこに完璧な人といえるあなたのパートナーが登場するわけです。彼(彼女)の大きな愛にあなたの愛が共鳴したら、怒りは心の奥に隠しておけると思いませんか。
一方、ケンカ状態というのは、彼(彼女)が不完全であることに対し、あなたがウンザリしたり、イライラすることから始まります。あなたの中にある怒りがそれに共鳴し、隠しきれなくなるわけです。
ここでの主体は、あなたではなくあなたのパートナーにあります。つまり、パートナーの状態により、あなたが愛になったりエゴになったりするわけです。
この状態を、私たちは“依存”と呼んでいます。二人の関係性の中心にいるのはあなたのパートナーで、そのパートナーに振り回されているのがあなたと言い換えることもできます。
依存の側にいるとき、あなたはパートナーに、たいへんなお金持ちであることや、やさしいパパやママであることや、素晴らしい人格者であることなどを求めています。そうすれば、あなたはなんの努力もなしに、愛でいることができるからです。
そして、偶像崇拝しているときのあなたは、自分自身にまったく自信をもっていません。自分は弱く、もろいものであり、確固とした“自分”などまったくないとも思っています。
だからこそ、神様のような存在があなたには必要であるのです。しかしながら、神様以外に神様はいないわけで、それ以外の人を神様のようにするこの関係はいずれ必ず破綻します。
「そんな人だと思わなかった!」と、あなたの理想を映していた彼(彼女)がただの男(女)に成り下がるときが来るわけですね。
“イコール・パートナー”というように、恋愛関係は対等でないとけっして長続きはしません。
たとえば、ミスをしたとき、あなたはものすごく怒られたいですか。それとも、許してもらいたいですか。もしも、許してもらいたいとしたら、パートナーがミスをしたときにも許してあげられるような心の許容があなたには必要です。
あなたはパートナーに愛されたいですか。愛されたいのだとしたら、あなたが愛してあげることが必要です。
ただ、それだけなのです。“イコール・パートナー”の道は、究極的には「自分にどれだけ愛を選択しつづけさせてあげるか」ということだともいえそうです。
神様のようなパートナーが欲しいのだとしたら、神様のパートナーはやはり神様であるべきですから、あなたが神様のような人になることがいちばんの早道です。それが難しいのだとしたら、彼(彼女)を神様にすることはやめるべきでしょう。
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