問題の力学

こんばんは。
カウンセラーの平です。
日曜日の恋愛心理学を原カウンセラーと隔週で担当しています。

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私たちは、自分が人に対してするのと同じように自分のことも扱っているようです。

たとえば、人に厳しい人は、自分のことも厳しく扱います。心理学で“投影の法則”というのですが、あなたが人を判断するときには、じつは自分を判断するのと同じ厳しいルールを使っていると考えられているのです。

以前、ある男性から奥さまのことについての相談を受けました。奥さまがとても嫉妬深く、自分はつねに疑われているというのです。

ご主人は奥さま一筋。しかし、奥さまからは「きっとあなたは浮気する」と言われつづけているとのことで、「どうしたら、信頼してもらえるようになるのか」と悩んでいたのです。

じつはこのご夫婦、なれそめは不倫でした。出会った当時、ご主人は結婚していて、奥さまは同じ職場の部下でした。

そして、いつしか二人は親密になり、不倫状態となり、その後、ご主人が離婚をしていまの奥さまと結婚したという経緯があったのです。

奥さまは真面目な性格ゆえ、自分がご主人を前の奥さまから奪ってしまったという思いをもっていました。だから、こんどは自分がだれかに奪われるのではないかという思いをもっていたわけです。

さらに、ご主人は奥様がいる身で自分と浮気をしたので、次もまた浮気をするのではという思い込みももっていました。

もちろん、そんなことがあってほしいとは、奥さまだって思ってはいません。しかし、人間の心とは不思議なもので、恐れれば恐れるほど、それを現実化したくなってしまうのです。

たとえば、目の前に風船があり、どんどんふくれているとします。いつ破裂するかわからないと思うと恐ろく、あなたは心の中で、何度も何度も風船が割れるシーンをシミュレーションするでしょう。

ところが、その風船がなかなか割れないとしたら、「早く割れろよ！」と言いたくなると思いませんか？　さらに、あなたの手元に針でもあったら、自分で風船を割ってしまおうとするのではないでしょうか？

つまり、コントロールしたいわけです。

これと同じように、奥さまの中では「彼が浮気をしたらどうしよう」という恐れがどんどん強まっているのに、いっこうにご主人は浮気をしないわけです。だから、ご主人を信じない、疑いつづけるということもやめることができません。

その結果、ご主人のほうは「浮気してもしなくても疑われるのなら、したほうましかなあ‥‥」などと思ってしまわないともかぎりません。

奥さまは疑うことによってご主人にウンザリされ、浮気をされる確率がものすごく上がるのですね。でも、自分ではまったくこのことには気づいていらっしゃらないわけです。

こうした問題を作るのは、 “罪悪感”という自己概念です。

そこには「自分は罰せられるべき」という思いがあり、いつか罰せられるのであれば、早く罰を受け、解放されたいと思うわけです。

引き寄せの法則の一種とでも言いましょうか、つまり、罰をコントロールしようとするのですね。コントロールすることで、その罰が大事にならないようにとしているわけです。客観的にはまったくへんな話ですが。

私たちはどうも、自分のことを、｢罰せられるにふさわしく、愛されるにはふさわしくない｣と思っているようです。

だから、いまがどんなに幸せであっても、｢この幸せは長続きせず、いつか自分は罰せられるのだ｣と考え、せっかく幸せな状態にあるのに、そう考えることで不安になったり、憂うつになったりして落ち込むのです。

あなたのご両親をはじめ、あなたを愛する人々はみな、｢あなたは愛するに値する｣と思っています。

しかし、私たちはどうしても、自分のことをそのように思えないのですね。そのため、いろいろな問題を作り、｢自分は愛されるに値しない｣を証明しつづけているようなのです。

残念なことなのですが、これが多くの人がもつ世界観です。

あなたが、もし、｢自分は愛されるにふさわしい｣と思うことができたなら、それだけであなたの世界を変えることができるのです。

＊　＊　＊

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