みなさん、こんにちは。カウンセリングサービスの大野愛子です。
木曜日は「うまくいかない恋の処方箋」をテーマに、大門昌代・大塚統子と共にお送りしております。
今週は、大野が担当させて頂きます。
たとえばカウンセリングで、「今は彼を手放した方がきっとうまくいきますよ」とご提案することがあります。すると、「それは彼を諦めなさい、彼と別れなさいということですか?」とすごく悲しそうな顔をする方がいます。
無理もないなと思いますし、そのお気持ちもわかります。なぜならば、手放したくないと思うのは、そもそもこの言葉がもつ日本語のイメージがあるからです。
日本語の手放すというのは、もっていたものが無くなる、せっかく手に入れたものを失う、そんなイメージがあるんです。
手放しをご提案するときは、これ以上関係性を悪くしないためにご提案することがほとんどです。「これ以上執着すると復縁の可能性すらなくなりますよ。だからその執着を手放してみませんか?」と。
そういわれてもなお「手放しましょう=別れなさい」と言われているような気がするのです。すると、「別れたくないから相談に来ているのに、どうしてそんなこと言うんですか!」と言われることがあるのです。
そのような時はこんなお話をすることが多いでしょうか。手放しについては「かごで飼っている小鳥のお話」を聞いたことがありませんか?そうそう、きっと何人かの方は知っているかもしれません。
どういうお話しかというと、恋人が別れたいと言ってきたけれども、私は絶対に別れたくない。その時に「絶対に別れない!どこにも行かないで!」としがみついている状態が、小鳥をかごに閉じ込めて飼っている状態です。
でもね、飼っている小鳥がなぜ私の手元にいるかといえば、私が鳥かごのなかに閉じ込めているからですよね?小鳥が鳥かごのなかにいるということは、小鳥は自分の意志で外に出ていけない状態になっているということです。
執着もこの感じに似ているのです。彼が別れたいと言った。でも私は別れたくない。「あなたは私を捨てるつもりなのね。もう私は死ぬしかないわね」と彼にしがみつく。
すると彼が、「そんなに自暴自棄になるなよ…」といってしぶしぶそばにいてくれる。すると、彼を鳥かごのなかに閉じ込めているような状態になるのです。
そうすると、たしかに小鳥は逃げていかないわけですね、閉じ込めているから。自分が引き止めているから彼は逃げていかない。でも、小鳥が私のことを好きでそばにいてくれる気が全然しなくなるのです。
私が行かないでというからそばにいてくれるだけであって、彼が私のことを好きだからいてくれるとは、全然感じられなくなるのです。
もしも彼が考えなおしてくれて、「やっぱりお前とやっていくことにしたよ」と言ってくれたとしても、その言葉すら信じられなくなるのですよね。私があんなことを言ったから一緒にいてくれるだけなのだろう。もはや、せっかく彼がくれる愛情ですら受け取れなくなっていく。
じゃぁ、手放すということはどういうことかというと、この鳥かごの窓を開けてあげることなのです。すると、どうなるかというと小鳥は外に飛び立っていくわけです。
すると、「え?さっき、手放す=別れるではないって言ったじゃん!彼いなくなっちゃうじゃん!」と言いたくなると思うのです。
でもね、この話にはちゃんと続きがあって、鳥を逃がしてあげて、その鳥がくるくると空をまわって、しばらくしてまた戻ってきたとしたらどうでしょう?
くるくると飛んでいたその鳥が、自分の意志であなたのもとに戻ってきたときに、「ああ、この鳥は私のことが本当に好きなのね。だから戻ってきてくれたのね」と感じられるでしょう。
私が閉じ込めているからここにいるんだ。そう思っているときはすごく怖いです。いつこの小鳥は逃げてしまうのだろうか?と。彼の意志でここにいるわけじゃないから、いつかいなくなるだろう。すると、彼がそばにいるにもかかわらずちっとも安心できないのです。
手放すというのは、小鳥を鳥かごから出してあげること。自由にしてあげること。「今までありがとう。どうぞ好きにしてください。私はあなたといたいけれども、あなたが別れたいというのならば仕方がない。どうぞ好きにしてください」と言ってあげること。
すると、小鳥はどこかに飛んでいきます。だって、別れたいだけの理由がありますからどこかに飛んでいくでしょう。だけど、小鳥は自由にしてくれたことだけは覚えているのです。
しがみつかなかった。自由にしてくれた。気持ちを尊重してくれた。それはちゃんと覚えています。すると、必ずそうなるとは限りませんけれども、彼の次の恋愛がうまくいかなかったときに、また舞い戻ってくることがあります。
人は自分が良くしてもらったことや、愛を感じたことは覚えているものです。「あの彼女は僕を理解してくれたな、自由にしてくれたな」って思い出すのですね。すると、戻ってくることがあるのです。
それを期待して手放すわけではないのですが、結果的に戻ってくることがあります。それを「手放すと戻ってくる」と言っているわけですね。
でも、無理やり閉じ込めたような状態で、檻から脱出するように逃げ出した場合は、戻ってくることはないでしょう。もうあんな思いはしたくないという思いだけが残りますから。
人は付き合い始めの印象よりも、別れ際の印象のほうが、ずっと記憶に残りやすいのです。
だから、私はどんな関係性であれ“別れ方”は大切だと思っているのです。
30代からのうまくいかない恋愛と40代からのこじれた男女関係に。
婚活・失恋・復縁・不倫など、恋愛についていろいろ書いています。
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