もう何年も前のことですが、いよいよ今の夫と結婚し、生活をともにしようと準備を進めていたときのことです。とにかくケンカが頻発するのです。
食器の洗い方が違う。洗剤を使うか使わないか。お湯の温度は40度に設定するか、60度か。
菜箸をたててしまうとき、箸先を上に向けるか下に向けるか。
いつお風呂は洗うのか、風呂を入れる直前か風呂を上がった直後か、
などなど。
特に、キッチンの使い方については、夫は夫で独身生活を通じて炊事を自分で工夫してやってきた自負がありました。私は私で主婦歴20年以上のプライドがあります。夫が家事は夫婦で分担してやるものだと考えてくれているのは嬉しいものの、台所に主婦が二人立つと混乱するのは、何も嫁姑だけの話ではありません。夫の考えるパーフェクトな台所作業が、私が入ることで思うように流れないことに夫はいらいらが募り、私は自分のやり方にケチをつけられている感が面白くなく、ケンカの火種はつきません。話を聞いてくださっていた住宅会社のインテリアアドバイザーが、「お宅は流し台をひとまわり大きいものにしました。お二人で台所に立つときに少しでも距離があった方がいいと思いまして」と言うほど、人前でも言い争いが多かったのです。
たかが食器の洗い方というなかれ。その食器の洗い方にその人の価値観や経験が現れているのだから、それをお互いに否定されると、自分の「想い」のいったいどこが間違っているのか、とまるで「自分」が否定されたかのように傷つき、腹立たしい。
「食器の洗い方」が「私の考え方+やってきたことの価値」にまで拡大解釈されると、「どっちのやり方の方が優れているか」の優劣がとてつもなく大事なことのように感じられて、後に引けないのです。
でも、「私のやり方の方が優れている」と言ってもらいたいのは、本当のところは相手を負かしたいからではありません。ただ、相手に認めてほしい一心なのです。
パートナーどうしの「競争」は、どちらが認める側になり、どちらが認められる側になるかのポジション争いです。二人ともが「優劣(勝負)」にこだわっているときは、ともに「認められる側」になりたいと言っているようなもの。
「あなた、褒める人」「私、褒められる人」がいいわ。
いや、「君が褒める人」「僕、褒められる人」じゃなきゃ。
普通は、「褒める人」は親だったり、上役だったりします。
「褒められる人」の役割は子供や下役が担います。
つまり、心理的には、「どっちが正しいか?」「どっちが優れているか?」の争いは、子供役のポジション(褒めてもらう側)の取り合いということになります。
パートナーとの「競争」に勝つことは、子供のポジション(依存)をゲットすることだとしたら、一見、「競争」に勝つことで立場が強くなるようだけれど、実は自分を相手に「依存」した状態に置き続けることになります。表向きは自立だけれど、ホンネは依存でいたい、という感じでしょうか。
だからこそ、対等なパートナーシップを結ぶ一歩手前で、この不毛な「競争」をたくさんしたくなるのでしょう。それは「大人になるのが怖い!」「子供ポジションを手放したくない!」という本当の自立の前の、最後の最後の悪あがきなのかもしれません。
この「正しさ」をあきらめ、「負け」も受け容れて、「褒められたい」を手放せたとき、二人の関係性も「こうでなくちゃ」から自由になります。「勝ち負け」を超えてみたら、そこには「信頼」という絆がありました。
もしもあなたが今、大事な誰かと「競争」にあけくれてケンカが絶えないとしたら。もう二人はわかりあえないからムリかも、と心が折れそうになっているかもしれません。でも、そこであきらめるのはもったいないかも、です。
それは、何のための「競争」なのか、そっと自分の心に問いかけてみてください。
あなたはなぜその「競争」に勝たなくてはいけないと思ってしまったのかしら?
もしかしたら、あなたの一番欲しいものの門のすぐそばまで来ているのかもしれません。 今秋開講!【豊かさを生きるための心理学講座・全3回シリーズ】
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場所: 渋谷区総合文化センター大和田 学習室2
料金: 3,150円
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日時: 2012年12月13日(木) 13:30~15:30
場所: 渋谷区総合文化センター大和田 学習室2
料金: 3,150円みずがきひろみが仕事やパートナーシップについて日頃思うことを書いています。
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