こんばんは
カウンセラーの平です。
日曜日の恋愛心理学を原カウンセラーと隔週で担当しています。
心理学に“相補性の法則”という考え方があります。
ひとことで言えば、人は自分にないものを持っている人に魅力を感じるということです。
たとえば、お金がない人は、お金持ちに魅力を感じます。お勉強があまりできなかった人は、高学歴の人に会うと「すごいなー」と尊敬のまなざしで見ますし、運動オンチの人はスポーツマンにかっこよさを感じたりします。
そして、今回のご相談者は理系の研究職の男性でした。
有名大学を出た優秀な人なのですが、心が閉じているといいましょうか、つねにポーカーフェイスで、感情にふりまわされることなどもないタイプです。
その彼が、人生で初めて人を好きになったのです。
お相手はなんと、先輩に連れていってもらったガールズ・バーに働く女性です。学歴は中卒、正真正銘のギャルだそうです。
会社での彼は、真面目で冗談一ついわない偏屈な人と思われているようですが、学歴が高く、仕事もできるので、まわりからは一目も二目も置かれ、それなりに気を使われているようです。
が、そのガールズ・バーの彼女だけは、まったく気を使わず、言いたいことをポンポンというわけです。
「お地蔵さんでももうちょっとしゃべるわよ」
「日本語、ハナセマスカ?」
こんなふうに彼をからかい、一人でケラケラと笑ったりしています。
で、彼は私に言うわけです。
「こんなにケラケラ笑う人に、人生で初めて出会いました。楽しいと思うことなんて、これまではまったくなかったんですが、最近は彼女のいるバーに行くことを考えるだけで、生まれてきてよかったと思うぐらいです」
が、彼は、「この状況をどうにかしなくては」と思っているのです。
「だって、いまの私がやっていることは、俗にオタクと呼ばれている人々が地下アイドルにハマッているのと同じようなものですよね。いままで、私はその手の人たちをバカにしてきました。だから、いまの自分のことが許せないんです」
で、現在のコントロール不能な状況をなんとかしたいとご相談におみえになったのです。
「しかしね、恋をすると、人はみなそういうふうになるんですよ」
「いいえ、平さんはわかっていない。ふつうの人はこんなふうな感情にはなりません」
なぜかガンコに私の言葉を受け入れてくれないのですが、そのわりに楽しそうな表情をしています。
で、結局、この日はまるで高校生に教えるように、デートの誘い方や、彼女をどんなところに連れていくとよろこばれるかといったアドバイスをすることになったのです。
「でね、よくわからないときはわかってるふりはしないで、どうしたいのか彼女に聞いてみましょう」
「わかりました」
律儀な彼はアドバイスをすべてメモにとって帰ったわけです。
その後、デートに誘うまでに3回、ガールズ・バーに通うこととなり、そして、その3回目に死ぬ思いでこう伝えたのです。
「一度、デートしませんか。いや‥‥、いやだったら、もちろん、大丈夫です。大丈夫ですから‥‥」
ものすごくテンパッている彼とは裏腹に、彼女は軽快に即答しました。
「いいわよ。いつ行く?」
その後、二人はおもしろカップルとして本格的につきあうようになりました。
彼女の両親は、娘が高学歴な男性を射止めたことをよろこび、「おまえのような娘が、なんでそんなすごい人とつきあえたんだ?」などと言っているそうで、彼女にとっては初めての親孝行になったようです。
彼は彼で、その後も彼女にけちょんけちょんにいじられたり、からかわれたり、突っ込まれたりしながらも、毎日が楽しくて仕方がないようです。
感情を強く抑圧するタイプは、感情表現が豊かな人に惹きつけられます。
で、今回の彼のようにそのタイプの男性が、だいぶわがままで、喜怒哀楽の大きいコギャルタイプの女性に惹かれるケースはめずらしくありません。
同様に、感情表現の豊かな犬をペットにして、ハマる男性も多いようです。あのストイックで有名なイチローもペットの犬をかわいがっていましたよね。
人は、「自分にはないものをもっている人」、「自分にはけっしてできないことを平気でする人」に魅力を感じるようです。
ただ、実際におつきあいするようになったときは、おたがいのその違いゆえ、「なんで、わかってくれないの!」とケンカになることは多いようです。
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