カウンセラーの平です。
日曜日の恋愛心理学を原カウンセラーと隔週で担当しています。
その日、ご相談にみえた男性の父親は商社マン。ご両親が結婚してすぐにニューヨークに転勤となり、彼と弟も赴任先で生まれたのだそうです。
それから数年後、子どもたちの教育は日本で受けさせたほうがよいというご両親の思いから、彼が小学校に入る年、一家で帰国しました。
しかし、どうも、母親は外国暮らしが性に合っていたようで、日本での暮らしにはいつもストレスを感じていたようでした。
機嫌が悪い日が多く、ニューヨークの暮らしがいかに素晴らしかったかという話ばかりしていましたし、海外では必要のなかった親戚づきあいが苦痛であったようで、まるで口グセのように、「これだから、日本人は‥‥」とよく言っていたのです。
彼は、自分の教育のために帰国したということを知っていたので、「僕のせいでおかあさんの人生が台無しになった」とつねに自分を責めていました。
だから、母親にとってよい息子であろうと、つねにがんばってきたのです。
しかし、そんな彼に対し、母親は「好きなことをすればいいのよ。あんたはあんたの道を歩きなさい」と言うばかり。
それで、いったいなにをすれば、自分が母親の“よろこび”になれるのかということがわからなくなっていたのです。
そんな彼なので、男女関係においても、自分が彼女の“よろこび”になっているかどうかということが気になって仕方がありません。
彼女と食事したり、どこかにデートに出かけたりしたときに、彼女が笑顔でなかったり、気分よさそうにしていなかったりすると、落ち込んだり、ナーバスになってしまうのです。
しかし、彼女としては、いつも笑顔で気分よさそうにしていなければならないとしたら、それもそれでストレスです。
結果、彼女ができても、たいてい半年ぐらいで関係がぎこちなくなり、「あなたといても、つまらない」という彼女のセリフとともに別れる‥‥ということを繰り返してきました。
彼に私はこんな提案をしてみました。
「おかあさんはニューヨークが気に入っていたのに、なぜ、きみを現地校や日本人学校に入れようと思わなかったんでしょうね。一度、直接、聞いてみて」
「それはそうですね」
彼はそう言い、後日、母親に聞いてみたそうです。すると、意外な返事が返ってきました。
「たしかに、それも選択肢の一つとしてあったわよ。でも、治安が悪いし、差別の問題もあるしで、やっぱり日本の小学校に入れたいと、私がおとうさんに主張したのよ」
帰国はいわば、母親が希望したことだったわけです。
そこで、彼が「僕のせいで日本に帰ってきたから、おかあさんがいつも機嫌が悪いと思ってたんだ‥‥」と言うと、母親はびっくりして、こう答えたそうです。
「なにを言ってるの。あなたがアメリカがよかった、楽しかったって、帰国してからずっと泣いてたのよ。だから、私のせいだ、あのままアメリカの学校に入れておけばよかったって、いつも思っていたんだから」
そして、母親は、彼が日本でも楽しい時間を過ごし、笑顔になれるようにといろいろなことを試し、ようやく彼も日本になじめるようになったのだとか。
つまり、彼がいま、自分の彼女を喜ばそうと、あの手この手でがんばっていることは、じつは昔、彼の母親が彼のためにしてくれたのとまったく同じパターンだったのですね。
彼の中には、「自分のせいで、おかあさんが不幸になった」というストーリーがありました。
でも、じつはそこには、「どんなにおかあさんが彼を喜ばせようとしても、なかなか喜ばない子どもであった」という事実が隠されていたのです。
私は彼にこう聞きました。
「あなたは彼女を喜ばせようとがんばってきたようですが、では、彼女があなたを喜ばせようとしてくれたとき、ちゃんと喜んであげました?」
彼は絶句しました。
「彼女が僕を喜ばせようとしていた‥?!」
そんなこと、彼は考えたこともなかったのです。
「ひょっとして、これまでつきあった彼女があなたと別れたいと思ったほんとうの理由は、彼女のほうがあなたを喜ばせようとしたときに、あなたが無反応だったからかもしれませんよ」
私がそう言うと、彼には思いあたることがたくさん出てきたようでした。
人はみな、「愛する人のよろこびに、自分はなりたい」という欲求をもっています。
さて、あなたはパートナーをあなたの“よろこび”として、見てあげているでしょうか?
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