カウンセラーの平です。
日曜日の恋愛心理学を原カウンセラーと隔週で担当しています。
“ジキル博士とハイド氏”といえば、人間の二面性をたとえるときによく使われる言葉です。
もともとは小説で、世間から人格者と認められている医者のジキル博士の裏側に、冷酷非道なハイド氏という側面があったというストーリーです。
それと同じように、私たち人間の中には、非常に愛情深い側面と、人を責め、自分を責めるエゴと呼ばれる側面が共存しています。
愛は、「人は私を愛してくれる」という見方をし、そして、「自分は愛されるにふさわしい」と感じています。
エゴは、「人はみな敵であり、この私を愛してくれるということはありえない」という見方をし、そして、「そんなひどい目に遭うのに私はふさわしい」と信じています。
そして、私たちの多くが、この愛からのものごとの見方とエゴからのものごとの見方を混同して使用するがゆえに、疑い深い人生を送ると考えられています。
エゴは、あなたの大事な人があなたにした悪いことばかりを記憶に留めさせます。
そして、なぜ、そのようなことをしたのかという根本的な問題は後回しにして、エゴに都合のよい解釈ばかりをしてしまいます。
たとえば、母親が厳しく、言葉も辛辣で、「おまえなんか生まなければよかった」とよく言われていたとしましょう。
この出来事だけだと、わが子に対し、ひどくて冷酷な母親だというイメージが浮かびます。
その一方で、そのとき、あなたはどのような態度であったのか、どんな悪い子であったのかということについては、エゴはあまり認識したがらないわけです。
一般的に考えてみれば、そのとき、あなたはなにか悪いことをし、それを叱った母親に反抗的な態度をとったのかもしれません。または、母親が傷つくようなことを言ったのかもれしれません。
その結果、母親は上記のようなことを言ったというのが実際の出来事だったかもしれないのですが、“私の悪事”はあなたの回想から消えてしまっているわけです。
そこで、あなたに必要とされるのは、事実にあらためて向き合うということです。
つまり、「おまえなんか生まなければよかった」という母親、そして、母親にそのセリフを言わせてしまうほどの悪い態度をとっていた自分にもう一度出会い、愛からのものごとの見方で解釈するのです。
そのとき、エゴはあなたの代弁者になりたがります。
「おかあさんにもっと愛してもらい、もっと必要とされたかったのに、そのあなたにおかあさんはひどいことを言ったわよね」、などと‥‥。
あなたに理解を示すとともに、おかあさんを悪者にしていくわけです。
しかし、愛からのものごとの見方ができたなら、子どもだったあなたも、その当時、母親に大きな影響力をもっていたということがわかります。
母親もまた、子どもであるあなたに評価されたい、認められたいと思っていたのです。
あなたはその母親を簡単に喜ばせることができたのに、それができるという評価をあなたは自分に与えてはいなかったのです。
愛はさらに、双方が傷つけあう代わりに、認めあい、愛しあうためにはなにが必要かということを教えてくれます。
心理学では“加害者”と“被害者”という言い方をしますが、それぞれが加害者であっても被害者であっても対人関係はうまくいきません。
もちろん、男女関係も同じです。
被害者は、愛してもらわなければならないほど弱く、かわいそうな存在で、人を愛する力はもちません。
加害者は、冷酷で、残忍で、他者への愛はもちあわせていません。
そんなふうにあなたは解釈していますので、加害者になっても、被害者になっても、パートナーシップはうまくはいかないのです。
しかし、愛からのものごとの見方ができたとしたら、こんなふうに考えることができるでしょう。
「私たちはケンカしたり、ののしりあったりしたいのではなく、上手に愛しあうことができないだけなのだ。そして、その、上手に愛しあえないということがもっともつらいのだ‥‥」、と。
あなたも彼も、あるいは、親も子も、じつはそんなふうに思っているのだと解釈できたなら、すべては好転していきます。
加害者でも被害者でもない、“無害者”という生き方。
あなたの大事なその人を、「私を愛してくれる人」にするのか、「私を傷つける人」にするのかは、じつはあなたが決めているのです。
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