日曜日・恋愛心理学講座を原カウンセラー と隔週で担当しています。
私たちは、どうも、世の中を自分の見たいように見て、そして、自分が聞きたいように聞いているようです。
とくに男女関係のコミュニケーションでは、このようなことが頻繁に起こります。
たとえば、デートのとき、彼があなたに「昼メシに鰻はどう?」と言ったとしましょう。ところが、あなたは鰻がとても苦手だったと思ってくださいね。
こんなとき、多くの女性はこのように答えます。
「鰻はちょっと苦手かも‥‥」
女性であるあなたは、このコミュニケーションによって、“苦手”ということをちゃんと伝えたつもりです。
一方、男性である彼の耳には、“苦手”よりも“ちょっと”という言葉のほうが強く聞こえ、そして、「少しぐらいのいやなら、きょう、すごく鰻が食べたい気分のおれにつきあってくれよ」と思ったりします。
あなたは彼の申し出に対し、「鰻は嫌い」とはっきり言うのを避け、やわらかな表現で拒絶したわけですが、それは彼にはほとんど伝わっていなかったというわけです。
私は体験的に、女性の「ちょっと‥‥」はまったく信頼しておりません。ほんとうに「ちょっと」だったためしはほとんどありませんからね。
たとえば、「太っている人は、ちょっと苦手かも‥‥」という女性が、ほんとうに「ちょっとだけ苦手」ということはまずなくて、じつは「ものすごく嫌い」という場合が圧倒的であるわけです(怒)。
私たちはいつも自分中心にものを考えていますので、頭の中で相手にコミュニケーションしたいと思っていることと、実際に言葉にしたコミュニケーションにはズレがあることを、自分ではなかなか理解することができないようです。
「私はこんなに鰻が嫌いなのに、なんで彼はわかってくれないのだろう?」と思ったとしても、彼に伝えたのは「ちょっと嫌いかも」というメッセージだけですから、あなたが鰻が大嫌いだとは、彼はもちろん認識できません。
しかも、きょうはすごく鰻を食べたいと思っていた彼ですから、「ちょっとぐらいの苦手なら、いいじゃないか」と思ったりもします。
さらに、「この娘は鰻のうまさがよくわかっていないんだな。よし、きょうはうまい鰻を食べさせて、本物の味を教えてあげようじゃないの」などと思うかもしれないのです。なにしろ、鰻のあの味が嫌いという人の気持ちが、彼には理解できないでしょうからね。
日本人が非常に苦手としていることの一つが、“きちんと言葉に出して表現する”ということです。
単一民族の国である日本には、古くから、はっきりと主張しなくても、「考えていることは、みんなだいたい同じなのだから、わかるでしょう?」、「それぐらい、察しなさいよ」という文化が根づいてきたのが、その大きな要因の一つです。
一方、世界の多くの国は多民族国家であり、異なる言語や宗教や価値観をもつ人が集まっていますから、「言わなければ、わかってもらえない」というのがあたりまえとなっています。
そして、最近の日本は、さまざまな価値観をもつことが許されるようになり、かつてのように「みんな同じ」ではなく、「一人ひとりが自分の価値観を大事にして生きていく」という時代へと変化しています。
価値観が多様化すると、自分のしたいことも、苦手なことも、もう、以心伝心には通じなくなってきます。だからこそ、外国の人々のように、はっきりとコミュニケーションすることが大事になっているのです。
男女関係が終わろうとしているときも、曖昧なコミュニケーションではうまくいきません。
たとえば、早く別れたいと思っている女性と、彼女をなんとか繋ぎとめたいと思っている男性のカップルがいて、彼女が別れを切り出したとします。
「あなたは素敵な人だし、結婚したらうまくやっていけるんでしょう。でも、いまはあなたじゃないと思うの。ごめんなさい、別れましょう」
このコミュニケーションによって、彼女は「別れて」とちゃんと言ったつもりなのですが、彼は「僕と結婚したらうまくいくと言ったね」とそこばかりを聞いてしまいます。だって、彼は彼女と別れたいとは思っていませんからね。
ほんとうにはっきりと伝えないと、あなたの言いたいことは、あなたが思っている以上に伝わっていないことが多いようです。
とくに、あなたがやさしくて、相手を思いやる気持ちが強ければつよいほど、コミュニケーションは曖昧になりがちです。それだけ、思いが伝わりにくいということを覚えておいてくださいね。
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